施政方針を表明する市長

はじめに

 令和6年第2回大田市議会定例会の開会にあたり、新年度の市政運営につきまして、私の所信を申し上げ、市民の皆様並びに市議会議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 私は、大田市長への二期目の就任にあたり、「今後10年を見据えた市政運営を心掛けるとともに着実に実施していく」ことを目標に掲げました。以来2年4か月が経過いたしました。
 この間、山陰道の全線開通に向けた活動、世界遺産・国立公園・日本遺産など大田の魅力を活用した観光振興、「大あなご」等の食による経済活性化、JR大田市駅周辺のまちづくりと大田市駅前周辺東側土地区画整理事業の着実な推進、行政のデジタル化や公共施設の適正化を含む行財政改革などに取り組むとともに、老朽化施設の改修を検討する中で、新庁舎の整備、子育てにかかる総合支援拠点施設整備、小・中学校の再編などにも着手することといたしました。
 物価高騰や賃金の上昇が続く状況の中で、多額の資金と時間を必要とするこれらの事業に取り組むことは、引き続き厳しい財政運営を迫られることになりますが、いずれの事業も、大田市の未来にとって必要不可欠な事業であります。
 残る任期の1年8か月において、これまでに着手した様々な課題に一定の目途をつけるよう、全力で取り組んでまいりますので、市民の皆様、市議会議員の皆様のご理解ご協力をお願い申し上げます。

 それでは、新年度における主要な項目について述べさせていただきます。

 3月9日にはいよいよ、山陰道「大田・静間道路」「静間・仁摩道路」が開通いたします。本市では5年ぶりとなる山陰道の開通であり、「命の道」として、緊急時の移動時間の短縮、安全性の向上はもちろんのこと、観光や産業面における人の流れや物流の活発化など、様々な効果をもたらすものと期待をしています。残る「福光・浅利道路」についても、順調に事業が進捗しております。引き続き、一日も早い開通と、山陰道の早期全線開通に向けて、関係機関に強く要望してまいります。

 新年度には温泉津地区が重要伝統的建造物群保存地区に選定されてから20周年を迎えます。この節目の年を、貴重な文化資源の保存と活用について、地元の関係者とともに考える機会とし、これを契機に、3年後の令和9年に迎える「世界遺産登録20周年」、「石見銀山発見500年」に向け、実行委員会を立ち上げて、具体的な準備を進めてまいります。
 観光の分野においては、当該年に向け、継続的な市内外へのプロモーションを行ってまいります。
 遺産の保全・活用の分野においては、「魅力化」と「持続化」をテーマに、遺産の持つ魅力と価値を的確に伝えるための環境の整備や、国内外への情報発信を推進するとともに、次世代の人材育成をはじめとした持続可能な仕組みの構築を進めてまいります。
 また、インターネット上の仮想空間であるメタバースを活用したバーチャルミュージアムによる、石見銀山遺跡をはじめとした市内の文化や文化財の公開・活用に向けた検討を進めてまいります。
 さらに、コロナ明けからインバウンド需要が高まる中、外国人旅行者の受け入れ体制の強化を図るため、通訳ガイドの経験を有する地域おこし協力隊員を配置し、外国語通訳ガイドの育成と組織化に向けて取り組んでまいります。

 本市における人口減少は、国の減少率を上回る勢いで進行しており、とりわけ令和元年に201人であった出生数が、昨年は159人にまで減少するなど、深刻な状況にあります。
 市政運営に大きな影響を及ぼす人口減少への対策を本市の最重要課題と捉え、今年度、「総合的な人口減少対策事業」に着手いたしました。様々な統計データの分析を行い、市民アンケートや子育て支援団体などにヒアリングを実施するとともに、各種関係機関や子育て世代の方々で構成する調査検討委員会において協議を重ねてまいりました。3月30日には、市民フォーラムを開催し、市全体で実態や課題の共有を図ってまいります。
 今後は調査分析の結果を踏まえて、できることから取り組むこととし、新たに「出会いの場の創出」に向けた取り組みを進めるとともに、各地区において説明会や意見交換の場を設けることとしています。

 新庁舎の整備につきましては、市議会議員や市民の皆さんからいただいた様々なご意見を踏まえ、3月中には、機能や概算工事費などを盛り込んだ基本計画を策定いたします。新年度からは、施設の構造やレイアウト、備えるべき機能などをまとめ、基本設計を行ってまいります。
 隣接する「子育てにかかる総合支援拠点施設」につきましても、3月中に策定する基本計画に基づき、基本設計を行ってまいります。子育てに関する施設を複合化することにより、各機能を有機的に連携し、効率的な運営体制の構築や、相談体制の強化などを図ることで、きめ細やかな子育て支援や健康づくりの拠点となるよう、検討を進めてまいります。

 小・中学校の再編につきましては、昨年9月末に3つの再編素案をお示しし、「大田市学校のあり方に関する計画等検討委員会」をはじめ、11月に市民会館で開催した説明会や、地域・保護者の方々への説明会・意見交換会を通じて、広く話し合いを重ねてきました。3月には再編案をお示しすることとしておりましたが、より深い検討が必要であることから、新年度も引き続き検討委員会を継続し、再編案の作成を進めることといたしました。
 こどもたちにとって、よりよい教育環境の確保につながるよう、将来の児童・生徒数の推移や校舎・施設の状況などを見据えながら、適正な小・中学校の配置に向けた再編・統合を進めてまいります。
 令和8年4月までに統合することとしております五十猛小学校・静間小学校・鳥井小学校につきましては、統合後の校舎として利用する静間小学校の施設整備や、適切な通学手段の確保など、統合に必要な準備を進めてまいります。
 また、校舎・施設の劣化が進む大田小学校につきましては、周辺の小学校との統合を念頭に置きながら、現地建て替えに向けた準備を進めてまいります。

 公共施設の補修・修繕対策につきましては、昨年3月に大森町で発生した転落死亡事故を受け、新たに立ち上げた「大田市公共施設改修及び修繕対策優先度判定委員会」において技術的・専門的知見による優先度判定を行い、施設の状態や利用状況に応じて、必要な予算措置と安全対策を実施してまいります。また、施設の大規模改修にあたっては、 国県補助金や地方債などの有利な財源を活用し、財政負担の軽減・平準化に努めてまいります。

 主要施策の概要

 それでは、本会議において、ご審議いただきます諸議案の説明に先立ちまして、主要施策について、「第2次大田市総合計画・後期計画」に掲げる施策体系に沿って、申し上げます。

第1の柱「多様で活力ある産業づくり」について

pdfファイル第1の柱 「多様で活力ある産業づくり」をダウンロードする(PDF:258kB)

第2の柱「ふるさとを愛する豊かな心づくり」について

pdfファイル第2の柱「ふるさとを愛する豊かな心づくり」をダウンロードする(PDF:190kB)

第3の柱「だれもが住みよい暮らしづくり」について

pdfファイル第3の柱「だれもが住みよい暮らしづくり」をダウンロードする(PDF:208kB)

第4の柱「くらしや交流を支える都市基盤づくり」について

pdfファイル第4の柱「くらしや交流を支える都市基盤づくり」をダウンロードする(PDF:155kB)

第5の柱「人と自然が共生した、自然・生活環境づくり」について

pdfファイル第5の柱「人と自然が共生した、自然・生活環境づくり」をダウンロードする(PDF:131kB)

第6の柱「協働・共創による持続可能なまちづくり」について

pdfファイル第6の柱「協働・共創による持続可能なまちづくり」をダウンロードする(PDF:157kB)

以上、主要施策の概要を申し上げました。

 予算案等提案理由

pdfファイル「予算案等提案理由」をダウンロードする(PDF:180kB)

 市民の皆様、市議会議員各位のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の施政方針並びに提案理由の説明といたします。

 

◆全体版(一括)

pdfファイル「施政方針(全体版)」をダウンロードする(PDF:526kB)