都会の活気を田舎へ 田舎の優しさと安らぎを都会へ

 島根県大田市では、1993(平成5)年から、ふるさとの自然と文化を活用した「次代を担う人づくり事業」として「山村留学事業」に取り組んでいます。市内外の子どもたちに、自然文化体験活動と集団生活体験活動を通して自ら生きる知恵を修得する場を提供するとともに、市内の子どもから高齢者にいたるまでの幅広い住民との交流活動を推進することを目的としています。

 現代社会の子どもたちに、最も不足していると言われているのが「生きる力」です。近年、長期間にわたって親元を離れた子どもたちが、農山漁村の自然や文化を肌で感じ取りながら集団で暮らし、その中で様々な体験活動をしながら人間の営みを学ぶ取り組みが、「生きる力」を育む有効な手段の一つとして評価が高まっています。

 そうした取り組みの一つに山村留学があります。

 大田市は、島根県中央部に位置する自然に恵まれた農林水産業主体のまちであると同時に、過疎化と高齢化の進んだまちでもあります。

 大田市を含め、全国の農山漁村で暮らす子どもたちに目を向けてみますと、豊かな自然の中で暮らしていながら、生活スタイルや遊び、食生活などは都会の子どもたちとほとんど変わらなくなってきています。農作業などの経験が全くない子どもや、祖父母と同居していない子どもも着実に増えてきていますし、不登校などの問題も都会と同じように生じています。また、学校の規模が小さいことから集団生活といっても限られている上、メンバーもほとんど変化しません。今や、大田市を含めた農山漁村の子どもたちにとっても、「生きる力」を育む取り組みが不可欠になってきています。

 大田市では、こうした市内の子どもたちの現状や他の諸課題を考慮し、過去30年以上にわたって自然体験教育および都市と農山漁村との交流を通した青少年のための活動を実践している内閣府認定の公益法人(公財)育てる会の協力により、山村留学事業に取り組んでいます。

 大田市の山村留学事業は、豊かな自然と文化を活用した「次代を担う人づくり事業」であり、「精神活動を中心に据えた交流事業」です。平成16年春からは「大田市山村留学センター 三瓶こだま学園」を拠点として、1年間の長期留学事業や夏、冬、春の短期自然体験事業、週末のミニ山村留学などを実施しています。