三瓶ダムに気液溶解装置(WEPシステム)を設置しました

  島根県では、平成29年度に三瓶ダムにおけるカビ臭発生を抑制することなどを目的として、ダム貯水池内に気液溶解装置(WEPシステム)を設置しました。
 近年、三瓶ダム貯水池においては、ある種の植物プランクトンが原因とみられるカビ臭が発生しています。
 大田市の三瓶浄水場は、このダム貯水池を水源としており、特に平成26年には、水道水に強いカビ臭が発生したため、県においては貯留水の部分入れ替えを行うなど、水質の保全に努めるとともに、大田市においては、浄水の過程でカビ臭を除去する活性炭処理設備を改良するなどの対策を行ってきました。
 これらの対策もあり、平成27年以降は水道水から基準値を超えるカビ臭は発生していませんが、さらなる対策としてこの装置を新たに設置するものです。
 カビ臭の発生は、貯水池の水中の酸素不足が一因と考えられています。今回設置した装置は、貯水池の広範囲に酸素を行き渡らせることが可能であり、水質の改善とともに、カビ臭の抑制効果が期待されます。 
 また、この対策による効果については、島根大学エスチュアリー研究センター(研究代表者:清家特任教授)に委託を行い、検証を行っていきます。

1.これまでの経緯等

  1) 平成 8年 4月    三瓶ダム運用開始
  2) 平成12年 4月    三瓶浄水場完成、給水開始
  3) 平成16年10月    初めてカビ臭が発生
  4) 平成21年 4月    活性炭接触槽増設(浄水場)
  5) 平成26年10月    これまでで最も強いカビ臭が発生
  6) 平成26年10月    活性炭接触槽改良(浄水場)
  7) 平成26年11月    貯留水部分入れ替え実施(平成27年度以降毎年夏季に実施)
  8) 平成27年 8月    活性炭注入システム改良(浄水場)
  9) 平成29年8月1日   気液溶解装置設置
 10) 平成29年8月25日 本格運用開始

2.気液溶解装置(WEPシステム)の概要及び設置状況

 1)気液溶解装置(WEPシステム)概要図
  WEP図面

 

 2)装置設置状況写真          
    気液溶解装置本体  

WEP本体

   ダム湖内への設置状況
設置状況

 

3.気液溶解装置(WEPシステム)の特徴

 1)水中の気液溶解装置は、貧酸素化した底層水を水中ポンプで取込み、陸上の酸素発生装置で製造した高純度酸素ガスを水圧下で撹拌することで、効率的に酸素を溶かし込むことができます。

 2)気液溶解装置から供給される高濃度酸素水は、無気泡であり上昇流を生じることなく底層水へ局所的な酸素供給が可能です。このため、水温差の層(躍層)を破壊せずに高濃度酸素水が拡がります。