ひと口に山村留学といっても、「山海留学」「農村留学」「ふるさと留学」「田園留学」「海浜留学」など、留学地によって様々な名称で呼ばれています。また、運営にあたる組織、山村留学生の居住形態、受け入れ期間も異なります。

運営者
 地方自治体(市町村教育委員会など)、民間団体・企業、学校や地域住民の組織した運営委員会、NPOなどにより運営されているのが一般的です。

山村留学生の居住形態
 おおよそ、里親主体方式、寮主体方式、寮と里親の併用方式、家族留学方式の4形態に分けられます。

里親主体方式
 全期間または大半を「里親」とよばれる受け入れ家庭(農家や漁師宅)でホームステイし、そこから地域の学校へ通学する方式。農山漁村の豊かな自然や文化にふれることができる。
 里親や地域住民とのかかわりも深く、第2のふるさと意識が育ちやすいと云われている。最もポピュラーな方式で全国各地で実施されてきたが、里親の高齢化などにより受け入れを中止したり、家族留学方式へ転換する動きが目立つ。

主体方式
 全期間または大半を寮(山村留学センター)で集団生活し、そこから地域の学校へ通学する方式。食住を中心とした受け入れ施設や、複数の専門指導員が常駐し年間を通じた自然体験カリキュラムが組まれている施設などさまざまである。寮母さんが掃除・洗濯まで面倒をみたり、テレビなども整っている施設もあれば、そうでない施設もある。また、フリースクール的な運営方針の施設もある。
 この方式は、それぞれの運営者の考えによって内容が大きく異なっているので、留学地選びの際には、親子の考えにあったものをしっかり吟味する必要がある。

◇寮と里親の併用方式
 ひと月の約1/3から1/2程度を複数の専門指導員が常駐する寮(山村留学センター)で集団生活。残りを里親宅で生活し、そこから地域の学校へ通学する方式。寮と里親宅の生活を 交互に繰り返す。年間を通じた自然体験カリキュラムが組まれている上、里親宅での生活を通して地域住民と交流したり、伝統文化にもふれることができる。
 山村留学を創設した(公財)育てる会が、創設以来ずっと実践している。同会の場合、山村留学センターにはテレビやゲーム機器は一切なく、掃除や洗濯なども子どもたちがする。

家族留学方式
 家族の一部または家族ごと転入し、従来通り家族で生活しながら地域の学校へ通学する方式。空き家を整備した住宅や公営住宅が提供される場合が多い。北海道に多く見られるが、近年は近畿地方でもこの方式が増えてきている。
 他の方式とは違って親元を離れないため、心がけていなければ親に頼る生活になりやすく、また、都会の生活をそのまま持ち込みやすい。(公財)育てる会のの調査によれば、併用方式と寮方式では、「規則正しい生活ができた」と回答した山村留学生が約8割であったのに対し、家族方式では約4割にとどまった。

受け入れ期間
 年間単位での受け入れが一般的です。
 また、夏・冬・春休みや土休日を利用した短期間(2日から2週間程度)の受け入れをしている地域もあります。こうした短期間のものは、通常の山村留学に対し「短期山村留学」「ミニ山村留学」と呼ばれたり、「自然体験村」「ふるさと体験」など別の名称で呼ばれることもあります。

※データは(公財)育てる会が発行している「山村留学25年白書」から引用しています。