平成21年度の調査は、分析場跡地の北西端部(A地点)と、その右隣で現在進入路として使用しているスロープ部B地点)にそれぞれ調査区を設定して行いました。
A地点では、廃棄されたキューペルの上に建物基礎を設置した状況が確認されました。このことは、キューペルが製錬所閉鎖後に廃棄されたものと考えられることから、分析場跡地で現在確認できる建物基礎の一部は、操業時の製錬所に伴うものではなくそれ以降の、つまり、製錬所閉鎖後に何らかの建物が建っていたということが分かりました。
またB地点では、長い間製錬所跡の進入路として使用してきたスロープは近年に造成されたものだと考えていましたが、製錬所閉鎖後の比較的早い段階に造成されたものであること、また、スロープの下にはさらに2面の整地面があり、下の整地面が操業当時の地表面であることなどが確認されました。さらに、2本の石組み側溝も検出され、底面がモルタルで補強されているなど、当時の技術を垣間見ることも出来ました。

建物跡とキューペルが見つかった様子