台風などにより家屋が浸水すると細菌やカビが繁殖しやすくなり、食中毒や感染症にかかる恐れがあるため、次の衛生対策をすることが大切です。

浸水被害時の衛生対策

 清掃乾燥が最も重要です。

 水が引いたら、不要なものや汚泥を片付け、浸水した場所を水で洗い流すか水拭きをして、よく乾かします。その後、必要に応じて消毒薬を使用します。

家の周辺や床下の浸水の場合

  1.家の周囲や床下などにある水や汚泥をかき出し、不要なものは片付けます。

  2.床下は、新聞紙や雑巾等で吸水し、風通しをよくして十分に乾燥させます。(扇風機などで強制的に換気することもよいです)

  3.水で流せるところは、泥などの汚れをよく洗い流します。

 屋外(床下や庭など)では消毒は原則不要です。

 必要に応じて、消毒薬を使用する場合は取り扱いに注意して消毒してください。

消石灰の取り扱いに注意しましょう。

 消石灰は、水に溶けると強アルカリ性となるため、肌や目に触れると炎症を起こします。使用する場合には、長袖・長ズボンを着用し、メガネ・マスク・ゴム手袋などを使用しましょう。また、散布した石灰が飛散しないよう、ジョウロ等で軽く水をまいて、表面の消石灰を固めるように注意しましょう。

床上浸水の場合

 清掃と乾燥の後、消毒を行ってください。

  1.水が引いた後、濡れた畳や家の中の不要なものを片付けます。

  2.汚れた家具や床・壁などは、水道水でよく洗い流すか水拭きして乾燥させます。

  3.食器類や調理器具などは、水洗いして汚れを洗い流し、消毒液や熱湯で消毒します。

  4.冷蔵庫や食器棚などは、汚れをふき取った後、消毒液で消毒します。

食中毒と感染症予防

  ・調理や食事前、用便後には、必ず石けんで十分に手洗いをしましょう。

  ・生水は飲用しない。

  ・汚水等で汚染された井戸、受水槽については、安全を確認した後使用しましょう。

  ・水に浸かった食品は、停電等により保存温度が保てなかった要冷蔵・要冷凍食品は、食べずに廃棄しましょう。

  ・発熱、下痢、腹痛等の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
   水害後の後片づけで疲労が蓄積すると体の抵抗力が低下します。慢性疾患にかかっている人、高齢者、乳幼児は特に注意しましょう。

消毒方法

 消毒薬は、過剰に使用すると人の健康や環境へ影響を与えることがあります。使用は最小限としましょう。使用の際には、取り扱い説明書に従い、事故が起こらないよう注意してください。

家庭で使いやすい消毒薬

                                        ※ドラッグストアや薬局、ホームセンターで販売

 ◎逆性石けん 10%(塩化ベンザルコニウム:オスバン等)

  使用濃度0.1%(薬液を100倍になるように水で薄める。)

  家具や床などの消毒に適しています。雑巾に浸して拭いてください。(ゴム製品、皮革製品への使用はさけてください。)

 ◎次亜塩素酸ナトリウム 6%(家庭用塩素系漂白剤:ハイター、ブリーチ等)

  使用濃度0.02%(薬液を300倍になるように水で薄める。)

  飲食器具等の消毒に適しています。薬液に5分程度浸した後水洗いしてください。(金属には使用できません。)

 ◎速乾性すりこみ式手指消毒液(ウェルパス等)

  使用濃度70%以上のもの(薄めずそのまま使用する。)

  水道水と石けんでよく手洗いした後、きれいなタオルで拭き、乾燥した状態の手指に消毒液をつけてしっかりすりこんでください。

 ◎消毒用アルコール

  冷蔵庫等の消毒に適しています。本剤をしみこませた布等で拭きます。

 ・消毒薬を取り扱う際には、ゴム手袋などを使用するとともに、皮膚や目にかからないよう注意してください。
  また、皮膚についた場合、水と石鹸でよく洗い流し、目に入った場合は、水で15分以上洗い流し、医師の診察を受けてください。

 ・消毒薬をペットボトルへ移し替えないでください。誤って飲んでしまう事故につながることがありますので、必ず使い切ってください。
  また、他の消毒液や洗剤と混ぜないでください。

 ・消毒液の入っていたバケツやじょうろなどは、十分に水で流してください。

 参考)消毒薬濃度 

薬品濃度 0.02%(200ppm)消毒液 0.1%(1000ppm)消毒液
1%

50倍にうすめる

水1ℓの中に原液20mℓを入れる

10倍にうすめる

水1ℓの中に原液110mℓを入れる

5%

250倍にうすめる

水1ℓの中に原液4mℓを入れる

50倍にうすめる

水1ℓの中に原液20mℓを入れる

6%

300倍にうすめる

水1ℓの中に原液3.3mℓを入れる

60倍にうすめる

水1ℓの中に原液17mℓを入れる

10%

500倍にうすめる

水1ℓの中に原液2mℓを入れる

100倍にうすめる

水1ℓの中に原液10mℓを入れる

 

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  関連情報【外部サイト】   

   被災した家屋での感染症対策【厚生労働省】 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00341.html

   水害時の衛生対策と消毒方法【島根県】 https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/yakuji/kansensyo/other/suigai_eisei_syodoku.html