教育委員会はこれまで令和3年2月に策定した「大田市学校のあり方に関する実施計画」に基づいて、魅力ある学校づくりを進めてきました。しかし、児童生徒数の減少や、校舎・施設の劣化、あわせて教員不足など新たに生じた課題への対応が必要となったことから、実施計画を見直し、小中学校の再編を進めていかなければならなくなりました。

 10年後、20年後の将来を見据え、時代のニーズにあった大田市にふさわしいものとなるように検討を進めています。現在の教育委員会の考えについてお知らせします。

 大田市学校のあり方に関する実施計画については、こちらのページをご覧ください。

学校再編を進めるに至った要因

(1)校舎・施設の状況

 令和4年度に実施した施設状況調査等において、多くの小・中学校で想定を上回る老朽化や塩害の影響があることが判明しました。

市内の学校の校舎1 市内の学校の校舎2

(2)児童・生徒数の減少

 出生数の減少などにより、将来的には児童生徒数が大幅に減少し、少人数学級や複式学級の増加が見込まれます。児童・生徒が社会性を身に付け、主体的に活動するためにも一校あたりの児童生徒数を確保する必要があります。

〇児童・生徒数  ※()内は学校数

  平成24年度 令和5年度

令和16年度

(推計値)

児童数

1,760名

(17校)

1,483名

(15校)

1,050名
生徒数

900名

(8校)

784名

(6校)

561名

※令和16年度の推計値は、令和4年度の出生数175人が続くと仮定した場合の数値。

(3)教育の質や機会の確保

 全国的な教員不足により、大田市でも適正な教員配置がされていない学校があります。また、児童生徒の多様化などによって教員の負担が大きくなっています。
 そのため、教員が個々の児童生徒に向き合う時間が十分にとれない状況にあります。そして、大規模校などでは、学校に行けない、また、行きにくいなど従来の学校教育に馴染めない児童生徒が増加しています。

 

見直しにあたって考慮すべき事項

(1)校舎・施設

・短期・中期的な対応として、校舎・施設の劣化により、近い将来、児童・生徒の安全確保ができなくなる学校は隣接校への統合を進める。
・長期的には、教育環境の充実に向け、劣化が進む施設への計画的な対応を行う。

(2)児童・生徒数

・児童・生徒数の減少により少人数学級や複式学級の増加が見込まれる。
・児童・生徒が社会性を身に着け、主体的に活動するためにも一定の児童・生徒数を確保する必要がある。
 〇学校教育法施行規則
  標準学級数 12学級以上 18学級以下
 〇公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法
  1学級の児童又は生徒数
   同学年の児童で編成する学級 小学校35人、中学校40人
   二の学年の児童で編成する学級 小学校16人(1年生8人)、中学校8人

(3)通学手段、通学距離

・国が示す通学距離の基準
  〇小学校4km、中学校6km以内、概ね1時間以内
・統合によりバス等による通学手段の確保が必要となる。
・一方で、バス1台の輸送能力は大型でも40~50名であり、大型バスの導入にあたっては回転場所の確保も必要。

(4)地域との関わり、地域バランス

・学校は、ふるさと教育や地域学習など地域との関わりが深いため、市全体の配置バランスを考慮する必要がある。
・学校施設は、人が集まるコミュニティーの拠点や避難所など、多機能な公共施設として市のまちづくりと密接に関わっている。
・一方で、人口減少や高齢化などにより、一つの地域で一つの学校を支えることが困難な状況も生じている(広域的な連携により学校を支える仕組みが必要)。

(5)小中一貫教育、特認校、柔軟な通学区域の設定、不登校などへの対応

・義務教育学校の設置など、小中一貫教育の推進について検討する必要がある。
・地域、通学距離、児童・生徒数などを考慮し、柔軟に通学区域を検討する必要がある。
・小規模校で学ばせたい保護者のニーズや不登校への対応などを考慮し、特認校や特例校(学びの多様化学校)の設置について検討する必要がある。

(6)その他

・複数の学校を同時に整備しないなど、校舎・施設の整備に係る費用の平準化をはかる。
・日々劣化が進む校舎・施設(緊急的な修繕などの対応が年々多くなっている)

 

三つの素案を作成

 以上のことを考慮しながら、教育委員会として、以下の方向性を定めました。また、将来を見据えた学校配置案として以下3つの素案を作成しました。

<方向性>

(1)児童・生徒の安全な学習環境の確保、施設整備に必要な期間・費用等を考慮し、使える施設を出来るだけ活用する。
(2)児童・生徒数が多く、再編・統合による他校への移動が困難な学校については、計画的に建て替えを行う。
   ただし、建て替えにあわせて近隣校の統合を見据える。
(3)小学校から中学校まで切れ目のない学習環境の確保に向けて、義務教育学校や小中一貫校化を検討する。
   また、そのことによって、施設整備に係る期間・費用の抑制につなげる。
(4)学校と地域のつながり、児童・生徒の通学に係る負担などを考え、地域のバランスがとれた配置に努める。

 

<現在の市内小・中学校の配置>
現在の学校配置

<学校配置 素案1>
学校配置素案1

<学校配置 素案2>
学校再編素案2

<学校再編 素案3>

学校再編素案3

学校配置図は以下をクリックするとPDFでもご覧いただけます。
pdfファイル「学校配置図(素案3パターン)」をダウンロードする(PDF:218kB)

素案ごとの再編・統合スケジュール(案)は以下のPDFからご覧いただけます。

pdfファイル「素案ごとの再編スケジュール案」をダウンロードする(PDF:238kB)

今後について

 今後はよりよい学校配置に向け、学校関係者や保護者などで構成する“大田市学校のあり方に関する実施計画検討委員会”を設置し、この3パターンの素案を基にしながら話し合いを進めていきます。
また、市民のみなさんの意見もお聞きしながら総合的に検討して最終案を作成し、令和6年3月を目途に実施計画へ反映することとしています。

大田市学校のあり方に関する計画等検討委員会については、こちらのページをご覧ください。